月別アーカイブ: 2011年3月

N設計室・永田昌民氏 半地下に潜る畳の居間食堂。おおらかな暮らしに応える家。食べて、くつろぎ、子供たちの遊び場でもある、茶の間の現代版。

「半地下に潜る畳リビングの家」の記事はこちら

N設計室、永田昌民さんは、設計スクールの中で、

「居間食堂に置くテーブルは、

2メートル以上の大きいものを置くように進めている。」とおっしゃいました。

永田さんがご自宅でお使いなのは木曽三岳奥村設計所のNテーブル。

永田さんの設計された住まい手さんが使うことが多いので、

「Nテーブル」と名付けられたそうです。

 

12畳ほどの居間食堂に2メートル以上の食卓、

最初は大きいかなと感じるかもしれませんが、

そこではお母さんがお裁縫をして、その横でこどもたちがお絵描きをしたり宿題をしたり、

家族が集まる中心となるのです。

 

Aさんの「人が集まれる家」というご要望から、

永田さんが提案したのは半地下に潜った畳リビング。

畳に座ると、庭の緑がちょうど目線の高さに拡がります。

 

どこか懐かしさを感じる畳敷きの居間食堂ですが、

縁無しの畳で、和風になりすぎず、現代版の茶の間といった雰囲気です。

「半地下に潜る畳リビングの家」の記事はこちら

 

N設計室・永田昌民さんご自宅『都大橋の家』2003年に完成した庭づくりの様子をレポートした当時の記事。敷地延長がこんなに使える!旗竿敷地の新しい魅力発見です!

 

2003年9月に完成した『都大橋の家』外構工事をレポートします。
都大橋の家はN設計室・永田昌民氏のご自宅です。

 余談ですが実は永田氏、ご自身の住まう家を設計するのは今回が初めて。
都大橋の家から目と鼻の先にある旧自邸『東久留米の家』は、
永田氏が設計した建物の中でもあまりにも有名ですが、
これは学生時代に知人の為に設計した建物を借りて住まわれていたのでした。

さて、永田氏は日頃から「住まいというのは建物の内部空間のみならず外の空間が大切なのだ」とおっしゃられていますが、今回ご自宅をつくるに当たって、造園に「5×緑(ゴバイミドリ)」システムという新しい植栽手法を取り入れました。

15mという長い敷地延長を駐車場として使うのではなく(なんと、駐車場は別の場所に借りたのです!)、
この「5×緑」を使ってアプローチを第2の庭、いえもしかしたらメインのお庭かもしれません・・・、
とにかくマイカーを外に追い出してまで見事に緑化されたのです。


最初は何とも驚く話でしたが、完成したアプローチを見るとほんとに素敵で思わず納得。
不動産的価値的にはマイナス要素として捉えられがちな敷地延長が、
とても魅力的なものであると認識させられました。


前置きが長くなりましたが、とにかくその都大橋の家外構工事をレポートします。ご覧下さい。

敷地延長がこんなに使える!旗竿敷地の新しい魅力発見です!!
 

都大橋の家の造園計画を担当されたのは(株)プランタゴさん。永田氏がOM研究所時代に設計された、当社施工物件「福生の家」の造園を手がけられたのも(株)プランタゴさんでした。今回現場にてお話をお伺いしたのは、(株)プランタゴ小田部さんという笑顔がとっても素敵な女性の方に、丁寧に説明していただきました。小田部さんお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。
笑顔が素敵な小田部さん
<5倍緑化計画> 5×緑(GOBAI MIDORI)工事レポート
5×緑=5面緑化するということ

同じ面積で5倍緑化するというのが、この5×緑のブランドの由来。「面積同じで5倍の緑」と話を聞いたときは??でしたが、見て納得!なるほど緑を5面に植えるということだったのか~。
土木現場で石とか木が入っているカゴ(はじめて知ったのですがフトンカゴ<GABION>と呼ばれるそうです)の中に人口軽量土壌(アクアソイル)を入れ、植栽を施したものが5×緑の基本形。まずはこのカゴを配置するところから始まります。

ウェーブはオーダーメイド

つたがカゴに絡みやすいように曲げ加工を施されている5×緑のオリジナルカゴ。
このオリジナルのウェーブカゴは、オーダーに合わせて一つづつプレス加工されるので、受注生産で納期とコストがかかるそうです。
上の写真の既製品のフトンカゴ<GABION>と場所や形によって使い分けて配置してありました。

GABIONの良いところ

金網でできたこのカゴは1マス10cm単位でカットして小さくしたり、写真のように重ねて高さを出したり(上のカゴはまだ何も入っていない状態)、場所にあわせて自由に変形できるので面白いです。まっすぐ伸びた敷延部分も、幅のあるもの・高さのあるものを組み合わせてレイアウトされているので、限られた幅の中にとても動きがでています。

 

カゴの中身その1 やしマット

空っぽのかごの中にまず入れるのがこのやしマット。ロール状に巻かれたやしマットをカゴのサイズに合わせて切り、4側面に内貼りします。

かごの中身その2 透水シート

やしマットの内側にこの透水シートを貼ります。やしマットと同じようにロール状のものをカットして使います。綿状のシートは手触りが気持ちいい。

かごの中身その3 アクアソイル

透水シートを貼ったら、中にこの人口軽量土壌(アクアソイル)をカゴ一杯に入れていきます。カゴが一杯になったら、植栽をする前にたっぷりの水を吸わせます。アクアソイルは水分を蓄えておく性質を持っているので、ここでたっぷり水を吸わせておくと植栽後の水遣りが少なくて済むのだそうです。

カゴの配置が終わりました

カゴを図面どおりに配置して、やしマット・透水シート・アクアソイルを入れ終わったところ。まだまだ完成の想像がつきませんね。

   
4側面にはつる植物を植えます

上部は草花や木を植えて、側面にはやしマットと
透水シートにカッターで十字の切込みを入れてつるを差し込みます。
今回植えられているのはテイカカズラという”つる”です。アクアソイルは無機質人工土壌なので、テイカカズラのような自らが栄養分を作り出す強いつるが向いているのだそうです。小さな白い花をつけたり、冬には一部葉が赤くなるので季節折々に楽しめるのもいいですね。
   
太鼓橋状にレンガ敷き

現場に伺った時は、アプローチのレンガ敷きを2人の職人さんがしていらっしゃいました。レンガの下にもアクアソイルを敷いて、レンガを一つづつ打ち込んでいく作業です。
このレンガ敷きにはちょっとした仕掛けがあって、道路から真ん中に向かってゆるやか~~な上り、真ん中から玄関に向かってゆるやか~~な下りの太鼓橋状のアプローチです。勾配をつけることで奥行きを感じさせる視覚効果を狙った工夫です。

レンガ敷きが終わりました

レンガ敷きが終わり、5×緑が配置されました。
一番手前の右側の背が高いカゴは門柱となります。このかごのワイヤー部分に表札をかけられるのです。緑で覆われた門柱、素敵ですね。数年してつるが延びてくるのが楽しみです。
さて、この後旧自邸「東久留米の家」から芝草(ターフ)を切り取って植えかえる作業です。

   
玄関側から道路側を見るとこんな感じ

高さ・幅・奥行の違うカゴをバランスを考え配置されています。住宅のアプローチというよりは、公園の中にある緑の小径といった雰囲気です。人の家とは知らずに入ってきてしまう人がいるんじゃないかな-と思います。

   
5×緑・こんな活用法

旧ご自宅のお庭にあった、土管を利用した水鉢を5×緑の中に入れて、周囲をつるや草花で彩る。なるほどこんな使い方もあるんですね。

   
ターフのお引越し

旧ご自宅の「東久留米の家」からターフ(芝草)をカットして、新ご自宅「都大橋の家」に移動させます。長い時間手を掛けて育てられた芝生や草花も人と一緒に新天地へお引越しです。

   
枠にあわせてカットカット

ターフの端に枠をあわせて、巨大ピザカッターのようなものでカットしていきます。

   
切り出したターフをかごに入れて

1枚、2枚、3枚・・・と、このようなシート状に切り出して、車で5分ほどの都大橋の家に運びます。

   
都大橋の家に移植

旧邸から運んできたターフを新しい土地に植えていきます。5×緑のカゴの上部や、レンガが敷いてない土の部分に1枚1枚置いていく地道な作業です。この時、日向のものは日向に、日陰のものは日陰にと、なるべく環境を変えない配慮が大切です。

   
ターフを切り出した後

旧邸のターフを切り出した後です。芝生の緑で覆われていた庭が、見事に土色一色になりました。この後、新しい芝を植えて所有者の方にお返しします。

都大橋の家敷延外構工事 BEFORE → AFTER
いかがですが?外構工事のbefore→after。古きものと新しきものを組み合わせて、こんなに素敵なアプローチができました。もちろんこの先お手入れが必要ですし、車を置くスペースがどうしても必要だったり、同じように植栽をしていくのは難しいかもしれません。でも、永田氏がおっしゃられる外の空間の大切さを感じずにはいられません。
「5×緑」についてさらに詳しく知りたい方は、「5×緑」のWEBサイトをご覧下さい。
http://www.5baimidori.com

都大橋の家の造園計画を担当された
(株)プランタゴ代表・TEAM5×緑の
田瀬理夫さん。
アクロス福岡・ステップガーデンを手掛け
「第一回屋上・壁面・特殊緑化技術
コンクール」にて国土交通大臣賞を受賞。

 

プランタゴ代表田瀬さん

 

 

N設計室・永田昌民氏 『家族7人4世代が暮らす家』大切に手をかけてきた以前の家のお庭を家の中に取り込むように、内と外とを緩やかにつなぐ居心地の良い家

 

『家族7人4世代が暮らす家』の記事はこちら

相羽建設が年に数回行っている、「住まい手さんに聞いてみよう・バス見楽会」。

毎回、募集開始後すぐにバスの座席が埋まってしまう大人気のイベントです。

今年も今週末に開催する予定で、すでにたくさんのお申込みを頂き、

バス4台で住まい手さんのお宅を拝見させていただきます。

 

さまざまな立地、建築家と建てた家、自社設計の家、

OMソーラーの家、太陽光発電の家、夫婦お二人の家、ペットのいる家など、

さまざまな条件のお宅を1日で3軒ほど周って見楽させていただきます。

 

今回ご紹介する「家族7人4世代が暮らす家」も以前バス見楽会で訪問させていただきました。

N設計室に作ってもらった模型を、竣工後7年が経過した今でも、大切にリビングに飾られていました。

ちょうど3月のひな祭りの頃で、坪庭の望めるコンパクトな和室に、

かわいらしいお雛様も飾られていたのが印象的でした。

住まい手さんそれぞれのセンスの良いしつらえ、暮らしぶりを拝見出来るのもとても楽しみで、

新しい住まいでの暮らしのお手本として、とても参考になります。

 

住まい手さんに直接住み心地や家づくり経験者としてのお話を伺うことができる貴重な機会となっています。

年に2回ほど開催していますので、くわしくは相羽建設までお問い合わせください。

大切なお住まいを拝見させていただき、ご協力いただく住まい手の皆さまに、心より感謝申し上げます。

『家族7人4世代が暮らす家』の記事はこちら