伊礼智設計室施工例:ワークスペースのある住まいの記事はこちら
通常オフィスというと、天井に蛍光灯がずらっと並ぶ、明るい室内を想像しますが、
伊礼智設計室の事務所は、住宅のような事務所にしたいとの思いから、
天井に照明を設置しませんでした。
しかし、模型づくりや図面作成など、手元での集中した作業のための、
十分な照明はどうしても必要です。
(左:吉村順三デザインのフロアスタンド)
そこで、各自デスク上には吊り書棚が設けられ、下面に蛍光灯の照明を組み込みました。
手元が影にならず、また、机上から近い位置に光源を設置したため、
距離に比例して明るさを増す必要がある照明を、1/3に節約することができ、省エネにもつながりました。
築40年以上経つ、この木造平屋建ての住宅の契約電力は20アンペアでした。
今では単身用のアパートでも通常30アンペアの契約です。
コピー機やパソコン、照明を必要とするオフィスでは、住宅より電力が必要だと考えると思うのですが、スタッフ計7名の事務所として使用している今も、電力契約は20アンペアのまま。
窓の外には緑のカーテンや簾で日射対策を行い、窓を開けて扇風機で過ごしています。
(ペンダント:ルイスポールセン「TOLDBOD」/左上:吉村順三デザインのテーブルスタンド/右奥:アッキーレ・カスティリオーニ「LAMPADINA」)
キッチンで「まかない」をつくり、コピー機を動かすと、ブレーカーが落ちることも度々。
そのため、一か所は電球型蛍光灯に変えたそうです。
二か所を比べると、やはり白熱灯との演色性の違いがわかると言います。
(ペンダント:ルイスポールセン「TOLDBOD」/中央:ルイスポールセン「AJ TABLE」)
自然と上手につきあいながら、心地良い暮らしとのバランスをとり、
柔軟な考え方で試行錯誤を楽しんでいる様子が感じられました。